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​​研究文献

霊芝の機能性に関する様々な文献

Target proteins of ganoderic acid DM provides clues to various pharmacological mechanisms

​《ガノデリン酸DMの標的タンパク質は多機能性薬理活性発現機構の解明への手がかりとなる》

Kuniyosihi Simizu, Jie Liu, Akinobu Tanaka, Wakako Shinobu, Koichiro Ohnuki,  Takanori Nakamura, Ryuichiro Kondo (Kyushu University)

【要旨】

マンネンタケは、多機能薬用キノコであって、伝統的にさまざまな疾患の治 療のために処方されてきた。ガノデリン酸 DM(1)は G. lingzhi から分離される代表的なトリテルペノ イドであって、多様な生物活性を示す。一方、1 の多機能性の根拠となる、複数のシグナル伝達経路に 作用し得る根本的な作用点は知られていない。本論文で、我々は 1 の多機能性発現の薬理的な作用機序 解明において、重要な手掛かりを見出した。我々は 1 とその類縁体との間の構造 - 活性相関を調べて、 C-3 のカルボニル基が細胞毒性にとって不可欠であることを見出した。その後、我々はプローブとして 1 の結合磁気ビーズを使用して、チューブリンを特異的 1- 結合蛋白質と同定した。さらに、1 のチュー ブリンに対する Kd はビンブラスチンのそれと同程度であり、チューブリン・ポリマーの構築にも影響 を及ぼしていた。本研究は 1 の多様な生物活性を明らかにして、新しいチューブリン阻害剤の設計・開 発に貢献すると考えられる。

The effect of strain, growth stage, and cultivating condition of Ganoderma lucidum on 5 α -reductase inhibition

​​《5α-レダクターゼ抑制に対するガノデルマ・ルシダムの品種、成長段階および培養条件の影響》

Kuniyosihi Simizu, Jie Liu,  Rumi Fjita, Michiko Sato, Fumiko Konishi, Kiyoshi Noda,  Shoichiro Kumamoto, Chie Ueda, Hisatoshi Tajiri, Syuhei Kaneko, Yoshitaro Suimi, Ryuichiro Kondo (Kyushu University)

【要旨】

 5 α - レダクターゼに対するガノデルマ・ルシダム 40 菌株の菌糸 40 種、培養液 9 種および子実体 53 個からのメタノール抽出物 102 件の抑制効果を調査した。各品種の子実体からのメタノール抽出物 が、被検抽出物間で最も強い5α- レダクターゼ抑制活性を示すことが判明した。

Regulation of osteoclastogenesis by ganoderic acid DM isolated from Ganoderma lucidum

​《ガノデルマ・ルシダムから分離されるガノデリン酸DMによる破骨細胞形成の調整》

Kuniyosihi Simizu, Ichiko Miyamoto, Jie Liu, Masao Sato, Akiko Kukita, Toshio Kukita, Ryuichiro Kondo (Kyushu University)

【要旨】

卵巣切除(Ovx)によって誘発する 11 週齢の雌のスプラーグドーリー(SD)ラットにおける骨密度 の低下に対する、ガノデルマ・ルシダムのエタノール抽出物の予防効果を検討した。結果は、D. ルシダムを投与された Ovx ラットでは、Ovx ラットと比較して骨密度改善が示された。我々は、骨髄細胞と RAW 細胞 264D- クローン(RAW-D)を使用して破骨分化に対するG. ルシダムの効果を検討した。バイオアッセイを用いた分別による活性化合物のうちの1つとして分離されたG. ルシダムのエタノー ル抽出物とガノデリン酸 DM によって、NF- κ B リガンド(RANKL)と腫瘍壊死因子α(TNF- α)の受容体活性薬による分化が抑制された。ガノデリン酸DMは、特にc-Fosと活性化T細胞c1(NFATc1)の核内因子の発現を抑制する。この抑制は樹状細胞に特異的な膜内外タンパク質(DC-STAMP)発現の抑制をもたらし、破骨細胞融合を減弱させる。

Ganoderol B: A potent -glucosidase inhibitor isolated from the fruiting body of Ganoderma lucidum

​​《ガノデロールB:ガノデルマ・ルシダムの子実体から分離された強力なα-グルコシダーゼ抑制剤》

Kuniyosihi Simizu,  Ryuichiro Kondo, Sri Fatmawati (Kyushu University)

【要旨】

炭水化物の消化を抑制することから、α - グルコシダーゼ抑制剤には 2 型糖尿病薬として非常に有用 である可能性が高い。α - グルコシダーゼの活性を低下させている成分を検索する過程、ガノデルマ・ ルシダムの子実体中の活性化合物が発見された。G. ルシダムの子実体からの CHCl3抽出物が in vitro のα - グルコシダーゼの抑制活性を示すことが判明した。中性分画の IC50値は 88.7 μ g/ml であり、 陽性対照であるアカルボース (IC50値 336.7 μ g/ml; 521.5 μ M)よりも強力な抑制活性を示した。 その中性画分をシリカゲル・カラムクロマトグラフィ処理して p-HPLC を繰り返することで、活性化合物である(3 β ,24E)- ラノスタ -7,9(11),24- トリエン -3 β ,26- ジオール(ガノデロール)を得た。 この活性成分の IC50 値は 48.5 μ g/ml(119.8 μ M)であり、高いα - グルコシダーゼ抑制を有する ことが明らかになった。

Ganoderic acid DM: Anti-androgenic osteoclastogenesis inhibitor

​​《ガノデリン酸DM:抗アンドロゲン破骨細胞形成抑制剤》

Kuniyosihi Simizu, Jie Liu, Jun Shiono, Akiko Kukita, Toshio Kukita, Ryuichiro Kondo (Kyushu University)

【要旨】

前立腺癌は、西欧諸国の男性において最も多い癌であり、骨転移の発生率が高い。Ganoderma lucidum (ガノデルマ・ルシダム)のエタノール抽出物から分離され、5 α - レダクターゼ抑制活性とアンドロゲン受容体(AR)結合活性を有しているガノデリン酸 DM は、前立腺癌細胞増殖を抑制し、破骨細胞形 成をブロックすることができる。

Regulation of osteoclastogenesis by ganoderic acid DM isolated from Ganoderma lucidum

​《ガノデルマ・ルシダムから分離されるガノデリン酸DMによる破骨細胞形成の調整》

Kuniyosihi Simizu, Ichiko Miyamoto, Jie Liu, Masao Sato, Akiko Kukita, Toshio Kukita, Ryuichiro Kondo (Kyushu University)

【要旨】

卵巣切除(Ovx)によって誘発する 11 週齢の雌のスプラーグドーリー(SD)ラットにおける骨密度 の低下に対する、ガノデルマ・ルシダムのエタノール抽出物の予防効果を検討した。結果は、D. ルシダムを投与された Ovx ラットでは、Ovx ラットと比較して骨密度改善が示された。我々は、骨髄細胞と RAW 細胞 264D- クローン(RAW-D)を使用して破骨分化に対するG. ルシダムの効果を検討した。バイオアッセイを用いた分別による活性化合物のうちの1つとして分離されたG. ルシダムのエタノー ル抽出物とガノデリン酸 DM によって、NF- κ B リガンド(RANKL)と腫瘍壊死因子α(TNF- α)の受容体活性薬による分化が抑制された。ガノデリン酸DMは、特にc-Fosと活性化T細胞c1(NFATc1)の核内因子の発現を抑制する。この抑制は樹状細胞に特異的な膜内外タンパク質(DC-STAMP)発現の抑制をもたらし、破骨細胞融合を減弱させる。

The Preventative Effect of Benign Prestatic Hyperplasia and Osteoporosis by Ganoderma lucidum

​《霊芝の前立腺肥大・骨粗鬆症改善効果》

Kuniyosihi Simizu, Jie Liu, Ichiko Miyamoto, Ryuichiro Kondo,  (Kyushu University)

【要旨】

キノコから天然の生理活性物質を探索する過程で、Ganoderma lucidum (霊芝、マンネンタケ)の子実体からのエタノール抽出物が、抗アンドロゲン活性(5a-レダクターゼ阻害活性)とエストロゲン様活性[MCF-7細胞(ヒト乳がん)の増殖活性]を示すことを見出した。19種類の食用キノコおよび薬用キノコのメタノール抽出物が5a-レダクターゼ活性に及ぼす阻害効果を調べたところ、G. lucidumの抽出物は、最も強い5a-レダクターゼ阻害活性を示した。 G. lucidumの菌糸体40、培養液9、子実体53の102種のメタノール抽出物が5-a-レダクターゼに及ぼす影響を調べたところ、子実体からの抽出物が、それらの中で最も強い5a-レダクターゼ阻害活性を示すことがわかった。G. lucidum子実体抽出物の5a-レダクターゼ阻害活性誘導分画から、ガノデリン酸DMと5a-lanosta-7,9(11), 24-triene-15α, 26-dihydroxy-3-oneの2つの活性化合物を単離した。それぞれIC₅₀で10.6 μMおよび41.9μMである。ガノデリン酸DMの側鎖のカルボキシル基は、そのメチルエステルからの活性が格段に少ないため、阻害活性を惹起するために必須である。G. lucidumの子実体またはそれから調製された抽出物は、ラットにおけるテストステロンによって誘発される腹側前立腺の成長を有意に阻害した。また、G. lucidumの子実体からのエタノール抽出物がMCF-7細胞の増殖に有意な効果を示すことを見出した。この増殖効果は、抗エストロゲン化合物ICI182780の添加によってこの増殖活性が阻害されたため、G. lucidumのエストロゲン活性に関連している。G. lucidumのエタノール抽出物は、17 β-estradiolの作用と同様に、卵巣摘出術による骨量減少を防ぎ、血清中のオステオカルシン濃度を低下させた。本データは、G. lucidumのエタノール抽出物が、子宮に実質的な影響を与えることなく、エストロゲン欠乏によって引き起こされる骨量減少から保護することを裏付けている。これらの結果から、G. lucidumは前立腺肥大症(BPH)や骨粗鬆症などの性ホルモン関連疾患の治療に有用な成分である可能性が示唆された。

Recent Scientific Evidence for Multi-Medicanal Effects of Fruiting Bodies of Ganoderma Lingzhi

《霊芝の多機能性薬理効果に関する近年の科学的検証》

Kuniyosihi Simizu, Qinchang Zhu, Yuri Yoshimura, Satoru Kaifuchi, Rika Kuwahara (Kyushu University)

Koichiro Ohnuki(Kinki University)

【要旨】

本稿の目的は、2000年以上にわたり中国、日本、韓国、その他のアジア諸国で「不死のキノコ」として薬用に使用されている担子菌白腐朽菌であるGanoderma lingzhi (日本語では霊芝、中国語ではLing Zhi)の多機能治療の可能性に関する最近の科学的証拠を検討することである。このキノコは自然界では比較的まれであるため、子実体の人工栽培が開発された。最近、その活性成分の薬理学的研究が世界中で大きな注目を集めている。その薬効について多くの研究が行われており、薬効代謝物は主にB-グルカンなどの多糖類とガノデリン酸DMなどのラノスタン型トリテルペノイドであることが明らかになった。 研究報告では、抗メタボリックシンドローム、抗前立腺肥大症、抗癌、抗アンドロゲン、アンチエイジング、免疫刺激、チューブリン調節、抗認知症、および抗インフルエンザ効果といった多数の薬理活性に焦点を当てている。しかし、正確な分子メカニズムはほとんど不明のままであり、活性化合物の標的タンパク質の同定は依然として高い優先順位である。今後の研究では、方法的品質の向上に重点を置く必要があり、さまざまな病気に対するこのキノコの効果のさらなる臨床調査が必要だ。

Anti-cancer properties of triterpenoids isolated from Ganoderma lucidum

​《霊芝から単離されたトリテルペノイド類の抗がん作用》

【要旨】
霊芝から単離されたトリテルペノイド類は、天然に存在する化合物の1種であり、構造的には高度に酸化されたラノスタン類である。蓄積されたデータは、トリテルペノイド類が抗増殖作用、抗転移作用、抗血管新生作用などの幅広い抗がん作用を示すことを明らかにしている。この種におけるさらなる研究を促進するためには、体系的な要約および将来展望の知識が必要とされる。過去10年間にわたる広範囲の研究は、発がんの様々な段階におけるGLTsの抗がん作用に関する証拠を提供した。これらの作用は、細胞周期停止、アポトーシスおよび自食作用の誘発、転移および血管新生の抑制を含む。しかし、これらのプロセスに関与する正確な分子メカニズムはまだ明らかになっていない。アンドロゲン受容体、核内因子kB、アクチベータータンパク質1、p53遺伝子、14-3-3タンパク質が、GLTsの抗がん作用に関与することが報告されている。動物モデルは抗がん剤としてのGLTs開発にさらなる光明を投じた。しかし、これらの化合物を有効に使うためにはさらなる研究および臨床試験が必要である。

Antimicrobial and demelanizing activity of Ganoderma lucidum extract,  p-hydroxybenzoic and cinnamic acids and their synthetic acetylated glucuronide methyl esters

​《霊芝の抽出成分p-Hydroxybenzoic acid, Cinnamic acid及びそれらのアセチル化により生合成されるGlucuronide methyl esterの抗菌活性とメラニン生合成阻害活性》

【要旨】
キノコの抽出成分あるいは単離化合物は、新しい有効な抗菌剤の探求に有益かもしれない。この論文では、薬効のあるキノコである霊芝中で同定されている2つの化合物p-Hydroxybenzoic acidおよびCinnamic acidの保護化(アセチル化)により生合成されるグルクロニド誘導体について説明する。それらの抗菌活性およびメラニン生合成阻害活性が評価され、親酸や霊芝の抽出成分と比較された。p-Hydroxybenzoic acidおよびCinnamic acidの保護化により生合成されるグルクロニド誘導体は高い抗菌活性(抗菌および抗真菌)を示し、その抗菌活性は商業規格よりもずっと高かった。親酸および保護化により生合成されるグルクロニド誘導体の配置における多様性にかかわらず、グルクロニド誘導体の抗菌活性は抽出成分が示す活性より常に高かった。それにもかかわらず、黒色アスペルギルスに対するメラニン生合成阻害活性を有する抽出成分は1つだけであった。アセチル化により生合成されるグルクロニド誘導体は、脱保護され、グルクロニド代謝産物となり、母体化合物の代謝産物としてヒト器官内を循環するだろう。

Reishi Protein LZ-8 Induces FOXP3+ Treg Expansion via a CD45-Dependent Signaling Pathway and Alleviates Acute Intestinal Inflammation in Mice

​​《マウスにおけるレイシタンパク質LZ-8のCD45依存シグナル伝達経路を介したFOXP3陽性制御性T細胞増幅と急性腸炎緩和効果》

【要旨】
Ganoderma lucidum (Ling-ZhiあるいはReishiとしても知られている)から単離される免疫調節タンパク質であるLZ-8は、T細胞における細胞増殖およびIL-2産生を促進することが明らかにされている。この研究で、我々は、LZ-8がマウスおよびヒトのCD4陽性T細胞のFOXP3陽性制御性T細胞(Treg)への増幅を誘導することを示す。LZ-8による処置は、マウスおよびヒトの初代CD4陽性T細胞のTreg数をそれぞれ4倍および10倍に増幅させることがわかった。さらに、LZ-8で処置されたCD4陽性T細胞において、CTLA-4およびIL-10の発現が誘発された。中和抗体および遺伝子欠損T細胞株を使って、我々は、LZ-8がCD45依存シグナル伝達経路を介してTreg増幅を促進することや、IL-2のCD18依存的誘導がTreg形成およびIL-10産生に関与することも発見した。LZ-8の抑制活性がDSS誘発大腸炎のマウスモデルを使って確認された。この疾患はLZ-8で処置されたCD4陽性T細胞の養子移植により緩和された。結論として、LZ-8の新しい制御機能が特定され、この機能の根底にある分子メカニズムが解明された。

Antidiabetic, Antihyperlipidemic and Antioxidant Activities of a Novel Proteoglycan from Ganoderma Lucidum Fruiting Bodies on db/db Mice and the Possible Mechanism


《db/dbマウスに対する霊芝子実体に含まれる新規Proteoglycanの抗糖尿病活性・抗脂質異常症活性及び抗酸化活性とその活性発現メカニズムについて》

【要旨】
以前に我々は、霊芝から抗高血糖活性を有するFYGLと命名されたProteoglycanをスクリーニングした。In vivoでのFYGLの抗糖尿病メカニズムのさらなる調査のために、この研究では糖尿病モデルとしてdb/dbマウスを使って、グルコースホメオスタシス、インスリン感受性酵素活性、グルコース輸送体発現、膵臓機能が分析された。FYGLは糖化ヘモグロビン濃度の低下をもたらすだけでなく、インスリンおよびC-ペプチド濃度の増加やグルカゴン濃度の低下も引き起こし、膵臓ランゲルハンス島の改善の可能性を示した。また、FYGLはグルコキナーゼ活性を増加させ、同時にホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を低下させ、肝臓における2型グルコース輸送体タンパク質の発現を低下させたが、一方で脂肪および骨における4型グルコース輸送体タンパク質の発現を増加させた。さらに、抗酸化酵素活性もFYGL処置により増加した。よって、FYGLは糖尿病の後期において、脂肪および骨格筋におけるグルコース処理の増加に加え、インスリン分泌増加および肝臓におけるグルコース生産低下による有効な抗糖尿病薬であった。その上、FYGLは酸化ストレスに対して効果的であり、糖尿病性合併症の予防に有益である。

Antimicrobial and demelanizing activity of Ganoderma lucidum extract,  p-hydroxybenzoic and cinnamic acids and their synthetic acetylated glucuronide methyl esters

​《霊芝の抽出成分p-Hydroxybenzoic acid, Cinnamic acid及びそれらのアセチル化により生合成されるGlucuronide methyl esterの抗菌活性とメラニン生合成阻害活性》

【要旨】
キノコの抽出成分あるいは単離化合物は、新しい有効な抗菌剤の探求に有益かもしれない。この論文では、薬効のあるキノコである霊芝中で同定されている2つの化合物p-Hydroxybenzoic acidおよびCinnamic acidの保護化(アセチル化)により生合成されるグルクロニド誘導体について説明する。それらの抗菌活性およびメラニン生合成阻害活性が評価され、親酸や霊芝の抽出成分と比較された。p-Hydroxybenzoic acidおよびCinnamic acidの保護化により生合成されるグルクロニド誘導体は高い抗菌活性(抗菌および抗真菌)を示し、その抗菌活性は商業規格よりもずっと高かった。親酸および保護化により生合成されるグルクロニド誘導体の配置における多様性にかかわらず、グルクロニド誘導体の抗菌活性は抽出成分が示す活性より常に高かった。それにもかかわらず、黒色アスペルギルスに対するメラニン生合成阻害活性を有する抽出成分は1つだけであった。アセチル化により生合成されるグルクロニド誘導体は、脱保護され、グルクロニド代謝産物となり、母体化合物の代謝産物としてヒト器官内を循環するだろう。

Probing Lingzhi or Reishi medicinal mushroom Ganoderma lucidum (higher Bacidiomycetes): a bitter mushroom with amazing health benefits


《LingzhiあるいはReishiと呼ばれ薬効を有するキノコであるGanoderma lucidum (高等担子菌類)の探索:驚くほどの健康効果を有する苦みのあるキノコ》

​​【要旨】

Ganoderma lucidum(LingzhiあるいはReishi)は、顕著な健康上の利益を有する苦味のあるキノコとして知られている。キノコ類には、多糖類、食物繊維類、オリゴ糖類、トリテルペノイド類、ペプチド類およびタンパク質類、アルコール類およびフェノール類、無機栄養素(亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、鉄など)、ビタミン類、アミノ酸類などの有効成分が含まれている。G.lucidum中で発見される生理活性成分は、肝障害、慢性肝炎、腎炎、高血圧、脂質異常症、関節炎、神経衰弱症、不眠症、気管支炎、ぜんそく、胃潰瘍、アテローム性動脈硬化、白血球減少、糖尿病、食欲不振、がんなどの病的状態の治療において多くの健康特性を有する。多数の関連文献があるにもかかわらず、G.lucidumは治療的にではなく、免疫増強剤および健康補助食品として主に使用されている。このレビューは、G.luidumの価値のある治療応用の検討について科学界の関心をひくために、G.luidumの治療可能性について考察する。

Ganoderma lucidum ethanol extract inhibits the inflammatory response by suppressing the NF-KB and toll-like receptor pathways in lipopolysaccharide-stimulated BV2 microglial cells


《リポ多糖類刺激 BV2 ミクログリア細胞における霊芝エタノール抽出物の NF-KBとtoll様受容体経路の抑制による炎症反応抑制効果》

【要旨】
Ganoderma lucidumは、韓国および他のアジア諸国で長寿や健康を促進するための強壮剤として広く使用されている伝統的な漢方薬である。このキノコの治療可能性に関しては多くの研究が行われているが、その抗炎症作用の薬理学的メカニズムは明らかになっていない。この研究で、我々は、リボ多糖類(LPS)刺激BV2ミクログリア細胞における霊芝エタノール抽出物(EGL)の炎症性メディエーターおよびサイトカイン産生抑制効果を評価した。我々は、LPSにより誘発された核内因子カッパB(NF-KB)活性化や、toll様受容体4(TLR4)およびミエロイド系分化因子88(MyD88)の発現上昇におけるEGLの影響も調査した。酸化窒素(NO)、プロスタグランジンE2(PGE2)、炎症性サイトカイン産生の増加が、LPS刺激後のBV2ミクログリア細胞において検出された。我々は、EGLが細胞毒性を引き起こすことなく濃度依存的に、NO、PGE2、インターロイキン(IL)1βおよび腫瘍壊死因子αなどの炎症性サイトカインの過剰産生を有意に抑制することを確認した。さらに、EGLはLPS刺激BV2細胞において、IKB分解阻害やTLR4およびMyD88発現阻害により、NF-kB転移および転写活性を抑制した。我々の結果は、BV2ミクログリア細胞でのLPS刺激炎症反応におけるEGLの抑制効果が、NF-KBおよびTLRシグナル伝達経路の抑制と関係していることを示唆する。よって、EGLは、活性化ミクログリアにおける炎症性メディエーター反応抑制により、神経変性疾患の治療に役立つかもしれない。

Inhibitory effect on NO production of triterpenes from the fruiting bodies of Ganoderma lucidum


《霊芝子実体由来トリテルペン類のNO産生抑制効果》

​​【要旨】

11種類の既知の化合物(5-15)と共に、4種類の新しいラノスタントリテルペノイド類であるルシデン酸Pブチル(1)、ルシデン酸D2ブチル(2)、ルシデン酸E2ブチル(3)、ルシデン酸Qブチル(4)が霊芝の子実体から単離された。それらの物質の化学構造の大部分は、1次元および2次元核磁気共鳴法と質量分析法により確立された。マクロファージRAW 264.7細胞におけるLPS誘発NO産生により、それらの抗炎症活性が評価された。化合物1,3,4,9,10,15のIC50値は、それぞれ7.4,6.4,4.3,9.4,9.2,4.5μMであり、抑制効果を示した。化合物1,3,15は、LPS誘発iNOS発現を用量依存的に低下させた。化合物1,3,15による細胞のプレインキュベーションは、LPSにより誘発されるCOX-2タンパク質の発現を有意に抑制した。

Lanostanoids from Fungi: A Group of Potential Anticancer Compounds


《抗がん活性を有する可能性のある化合物群「菌類由来のラノスタノイド」》

【要旨】
ラノスタン類は、ラノステロール由来の四環トリテルペノイド類の一群である。それらは、アポトーシス誘発を介した細胞毒性などの生物学的および薬理学的性質を有する。このレビューでは、2000~2011年に研究された主にGanoderma lucidumから単離されたラノスタノイド類や、Poria cocos, Laetiporus sulphureus, Inonotus obliquus, Antrodia camphorate, Daedalea dickinsii, Elf vingia applanataなどの関連キノコ類から単離されたラノスタノイド類についてまとめる。これらのラノスタノイド類は、細胞毒性やアポトーシス効果を有しており、抗がん剤として有望である。化合物類は、核内因子や遺伝子を介して転写活性を変化させるそれらの能力によるアポトーシス促進タンパク質活性化や抗アポトーシスタンパク質阻害などのアポトーシス促進メカニズムに基づいて選択された。化合物類の細胞毒性のみに基づいた研究は、それらの作用メカニズムに関する補足的研究がない場合はこのレビューから除外された。Ganoderma lucidumおよびこの属の他の種由来の合計81種類の化合物に加え、他のキノコ、主にPoria cocosから単離された96種類の化合物が含まれている。これらの化合物のいくつかは、G1期において細胞周期を停止させ、p53濃度およびBax濃度を増加させ、Erk1/2のリン酸化やNF-κBおよびAP-1の活性化を阻害することが分かっている。また、腫瘍抑制タンパク質p53を活性化するp21の発現増加により、アンドロゲン前立腺がん増殖において抑制作用を有するラノスタン類もある。一方、トポイソメラーゼⅠに影響を及ぼすことなくトポイソメラーゼIIを選択的に阻害することが明らかにされている化合物類もある。これらの化合物の化学構造と生理活性の関連性に関する全般的な考察も議論する。

Antioxidant Properties of the Peptides Isolated From Ganoderma lucidum Fruiting

Body


《霊芝子実体より単離されたペプチドの抗酸化活性》

【要旨】
霊芝は、特に中国、日本および韓国で、何世紀にもわたって伝統薬として広く使用されている。霊芝から単離された多くの生理活性代謝産物は、様々な疾患に対して治療効果があった。霊芝の水抽出物から単離されたペプチドは、セファデックスG-25、セファデックスG-50および逆相HPLCカラムクロマトグラフィーを用いて精製された。ペプチド画分の抗酸化活性が、様々なin vitro法により測定された。セファデックスG-25から得られたすべての画分およびセファデックスG-50から得られた画分Gは有効な抗酸化物質であり、画分Cは最も高い抗酸化活性を有する。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、ゲル濾過クロマトグラフィーおよびマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計により測定された精製ペプチドの分子量は、それぞれ2.8,3.34および3.35kDaであった。ペプチドのアミノ酸組成は、フェニルアラニン、アスパラギン酸、プロリン、ヒスチジンおよびイソロイシンが豊富であった。この研究で単離されたペプチドの有益な抗酸化活性は、その低い分子量および特異的なアミノ酸組成によるものかもしれないことが示唆される。

Hypoglycemic Effects of Ganoderma lucidum Polysaccharides in Type 2 Diabetic Mice


《2型糖尿病マウスにおける霊芝由来多糖類の血糖値低減効果》

​【要旨】

我々の目的は、2型糖尿病マウスにおいて7日間投与された霊芝由来多糖類(GLPs)の血糖値低減効果および作用メカニズムを調べることであった。マウスはランダムに、正常対照群、糖尿病対照群、低用量GLP処置糖尿病群(50mg/kg/d)、高用量GLP処置糖尿病群(100mg/kg/d)の4群に分けられた(8匹/群)。糖尿病は、ストレプトゾトシン投与および高脂肪食摂取により誘発された。実験の最後に、空腹時血清グルコース、インスリン、体重(BW)および精巣上体の白色脂肪組織重量が測定された。グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)遺伝子、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(FBPase)遺伝子、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)遺伝子およびグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)遺伝子の肝臓mRNAレベルが、リアルタイムPCRにより測定された。両方の用量のGLPは、糖尿病対照群と比べて、空腹時血清グルコース、インスリンおよび精巣上体の脂肪/体重比を有意に低下させた(p<0.05)。GP、FBPase、PEPCKおよびG6Paseの肝臓mRNAレベルは、両方の用量のGLP処置群で糖尿病対照群と比べて有意に低下した。総合すれば、2型糖尿病マウスにおいて、GLPは空腹時血清グルコース濃度を用量依存的に有意に低下させた。空腹時血清グルコース濃度の低下は、グルコース新生やグリコーゲン分解に関与するいくつかの重要な酵素のmRNA発現レベル低下と関連しているかもしれない。

Ganoderic acids suppress growth and angiogenesis by modulating the NF-KB signaling pathway in breast cancer cells


《Ganoderic acidは、NF-KBシグナル伝達経路の調節により、乳がん細胞の増殖および血管新生を抑制する》

【要旨】
In vitroおよびin vivoにおいて、Ganoderma acidは、浸潤性および転移性の高い乳がん細胞の増殖、血管新生および侵襲性を抑制することが明らかにされている。しかしながら、乳がん細胞におけるGanoderma acidの作用メカニズムはよくわかっていない。本研究で、我々は、MDA-MB-231乳がん細胞株における細胞表現型および腫瘍増殖へのGanoderic acid Me(GA-Me)の影響を調査した。結果は、GA-Meによる24時間の処置が、MDA-MB-231細胞において核内因子カッパB(NF-KB)の活性を阻害したことを示唆した。MDA-MB-231細胞が腫瘍壊死因子α(TNF-α)により刺激されたときも、GA-Meの阻害効果は維持されたままであった。我々は、MDA-MB-231細胞において、GA-MeがNF-KB活性の抑制により増殖および浸潤を阻害し、アポトーシスを誘発したことを明らかにした。しかしながら、GA-MeはIカッパB-α(IkB-α)のリン酸化反応および分解を阻害しなかった。GA-Meは、細胞増殖(c-Mycおよびcyclin D1)、抗アポトーシス(Bcl-2)、浸潤(MMP-9)および血管新生(VEGF,インターロイキン(IL)-6および-8)に関与する遺伝子などNF-KBにより調節される様々な遺伝子の発現を減少させた。in vivoにおいて、GA-Meの腹腔内投与は、MDA-MB-231細胞の腫瘍増殖を阻害した。我々の結果は、MDA-MB-231細胞において、GA-MeがNF-KB活性およびその下流遺伝子の発現プロフィールの抑制により、増殖、血管新生および浸潤を阻害し、アポトーシスを誘発したことを明らかにした。これらの発見は、GA-MeのNF-KBシグナル伝達経路調節作用による乳がんの予防および治療におけるGA-Meの新規役割に関する証拠を提供する。

Antihepatoma Activity of the Acid and Neutral Components from Ganoderma lucidum


《霊芝由来の酸性化合物及び中性化合物の抗肝臓がん活性》

【要旨】
霊芝抽出物や単離成分は、がん予防や抗腫瘍効果などの多くの潜在的な生化学的活性および薬理学的活性を有することが以前に明らかにされている。霊芝の超臨界流体抽出物(全化合物,TC)、その酸性化合物(AC)および中性化合物(NC)の抗肝臓がん活性が、in vitroおよびin vivoにおいて評価された。Hepsを有するマウスの腫瘍増殖において、NCは明白な阻害作用を示したが、ACは効果が少なかった。TC,NCおよびACはすべて、アポトーシス経路および細胞周期停止により、BEL-7402細胞の増殖を阻害した。加えて、フローサイトメトリーにより、NCおよびTCはG2/M期の細胞周期停止を誘発したが、ACはG1期の細胞の割合の顕著な増加を生じた。NCが抗肝臓がん活性に関して必須の効果的成分であり、その成分の詳細な調査が必要であることが示唆される。GC-MSにより検出されたNCは、脂肪酸およびステロイドを含んでいた。よって、霊芝の抗がん活性は伝統的にトリテルペノイド類と関連があると考えられているが、NCにおける長鎖脂肪酸やステロイドなどのいくつかの化合物も抗肝臓がん活性の一因かもしれないことが提案される。

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